日本手芸普及協会 区限刺しゅう本科 課題4スウェーデン刺しゅう
スウェーデン刺しゅうのクッションが出来上がりました。
大好きなホワイトワークとは対照的な【強い色のコントラスト】【直線的なステッチ】。
課題作品でなければ、私の目には止まりにくい刺繍でした。
そんなスウェーデン刺繍の作品を一つ作ってみて、学んだ事などをまとめておこうと思います。
スウェーデン刺繍とは
誠文堂新光社「ヨーロッパのかわいい刺繍」という本を開いて、スウェーデンのページをめくっていくと、
ツヴァルト刺繍、ブレーキンゲ刺繍、ヤルブソー刺繍、ハッランド刺繍、ナーベルソム刺繍、ピンスペッツ、
クロスステッチ、ウール刺繍、そしてピューター刺繍とたくさんの刺繍が紹介されていますが、私が刺したスウェーデン刺繍はどこにも紹介されていません。
スウェーデン刺しゅうハンドブック 単行本 – 2024/5/27 五十嵐富美 (著)
今回、私が勉強したスウェーデン刺繍は、古く西欧で親しまれた刺繍ではありますが、
北米・英国・ブラジルでは「ハックウィビング」「バゴニーテ」と呼ばれ、
英国の本では「ユーゴスラビアンダーニング」と紹介され親しまれてきた刺繍です。
日本手芸普及協会にも深くかかわってこられた久家道子[クゲミチコ]先生が、自由学園を卒業後、南米チリに滞在され、それまでに培った手芸の技術をベースに1956年、スウェーデン刺しゅうを考案、発表されました。
そのままスウェーデン刺しゅうの名称が定着していますが、北欧スウェーデンの伝統的な刺しゅうとは異なるものです。
久家道子先生のスウェーデン刺しゅうの本は、Amazonでは中古本を見つけることができるようです。
スウェーデン刺しゅうの布と針
スウェーデン刺しゅうの布
スウェーデン刺しゅう考案者 久家道子先生オリジナルの刺しやすいスウェーデンクロスというものがあります。
布の織り糸を表面ですくって刺しますので、特徴ある織りの生地になっています。
オリンパスとコスモでは、コスモの方が織りが若干細かくなっています。
スウェーデン刺しゅうの針
スウェーデン刺しゅうの他に、こんな曲がった針を使うような刺しゅうはあるのでしょうか?
革を縫うはりにCの字にまがったカーブ針などあるようですが。
とても特殊なスウェーデン針は、スウェーデンクロスの織り糸をすくいやすいように、先が曲がっています。
使うのは初めてで、使いこなすのに少々戸惑いました。
ですが慣れてくると、二重織りになったスウェーデンクロスの織り糸を上手にすくってくれました。
長さも長いので、何目分もまとめてすくうのもとても楽です。
さすが、専用の針です。
スウェーデン刺しゅうの糸の取り扱いで失敗してしまった話
今回は、5番刺繍糸を使いました。
この糸の準備で、私は一つ間違いをしてしまい、ブルーの刺繍糸を買い直しました💦
何をしてしまったかというと、
これまでに覚えた刺繍糸の使い方(整理・収納の仕方)を実践して、60〜80㎝くらいにカットして三つ編みにしてしまったのです。
他の刺しゅうならば、この方法は使いやすくなるのですが、今回のスウェーデン刺しゅうクッションは、図案通りの刺し方をすると長いもので刺繍糸を230㎝準備するように指示されています。
三つ編みにした場合、糸が短くなり、逆に使いにくくなってしまうのです。
もちろん、糸継ぎなども可能ではありますが、動画通りの糸の使い方をしておけばよかったと思いました。
ということで、
今回はやらない方がよかった三つ編みですが、やり方を覚えておくととても便利ですので、動画を紹介しておきます。
ステッチは難しくはないけれど。。。
スウェーデン刺しゅうは、ステッチは難しくはありません。
今回使用したステッチは
- 織り糸を横にまっすぐすくいながら刺していく【ダーニングステッチ】
- ダーニングステッチを数目して段を移動して糸の流れを作る【2段上がり2段下がり刺し】
- 織り糸を単純にすくいながら、糸がクロスするように刺す【クロス刺し】
の3種類でした。
左の黄色い糸は、【クロス刺し】をしているところです。
5目ダーニングステッチで刺し、
最後の5目の真上を1目刺し、
再び、真下の最後の5目を次の1目と数えながら刺し進めると、針運びは単純ですが、糸の流れがクロスする小さな【クロス刺し】ができます。
オリンパスさんの動画がありましたので、紹介しておきます。
基本的な刺し方が理解できると思います。
動画を見て頂いてわかるように、織り糸をススゥーッとすくって糸を通していくのは、簡単で楽しそうです。
なのですが、動画の糸は1本取りです。
実際の課題は2本取りでした。
長い、長い糸をこのように通していきますと、必ず糸の【よじれ】がでてきます。
【よじれ】たままでは、せっかくの糸の流れが美しくなりません。
刺し始めたばかりです。
白・黄色、そしてブルーを刺したところです。
糸が2本取りになっているのがわかると思います。
この2本のきれいな糸の流れは、2本の糸がねじれていないことが大切です。
簡単そうに思われるかもしれませんですが、これが意外と難しいところです。
また、糸の適度なゆとりは、糸の流れるカーブを美しく描く為には大切です。
2本取りの刺繍糸をねじれないようにする工夫
難しかった刺繍糸の2本取り。
刺し続ける中で、糸がねじれないように、だんだんとコントロールできるようになってきました。
画像と共に、いつかまたスウェーデン刺しゅうをする時の為に、記録しておきます。
自分なりのやり方というのは人ぞれぞれですので、説明が分かりにくいかもしれませんが、困られた時など、よかったら参考になさってみてください。
糸のねじれを確認し、
これから通していく布目の手前まで、
ねじれていない糸の流れを作ります。
2本の糸が並べた状態で、【裏】と【表】があるという感覚がわかってくるとうまくいきやすくなります。
画像では、2本の糸が布目を通っていくときの【表側が常に同じ側】になって針の上に掛かっています。
こちらは、上の画像と違って、2本の糸の表側と裏側が途中で交差して、糸もまだねじれています。
糸が通りました。
ねじれもなく、きれいに通りました。
あとは、糸を引きすぎず、適度なゆとりをもたせて、ゆるやかな曲線を描くようにします。
どうでしょうか?
少しでも伝わったでしょうか?
糸さばき、針運びは、人それぞれですが、とにかく
糸がねじれないように、糸のゆとりでゆるやかな曲線をえがくように注意してみてください。
ちなみに、
今回は5番刺繍糸を使用しましたが、25番刺繍糸でされたことがある方の話も聞いたことがあります。
25番刺繍糸をそのまま使ったり、5番刺繍糸を1本取りでやると、初めての方でもとてもやりやすく、刺しゅうを楽しめると思います。
Amazonの方で、オリンパスサンから出ているキットも何種類かありました。
レビューがよく、初めての方でも楽しめそうなキットをご紹介しておきます。
スウェーデン刺しゅうをはじめて刺してみて
はじめてのスウェーデン刺しゅう。
毎回ですが、“課題だから…。”で取り組み始めましたが、いかに糸を美しく通していくかにのめり込み、
徐々に現れるグラデーション模様は、とても美しく、十分にこの刺しゅうの魅力を味わうことができました。
初めての曲がった針と、織り方が変わった刺繍生地の使い方も学ぶことができました。
あまり身近で見かけない刺しゅうですが、興味を持たれたり、機会があれば、一度刺してみて下さい。
この作品で、本科の課題作品修了です。
次は高等科。
アッシジ刺しゅう、こぎん刺しゅう、2度目のキャンバスワークとハーダンガーワーク。
また初めての刺しゅうやステッチが学べます。
2024.09.追記
スウェーデン刺しゅうの基礎がわかる本が新しく出ました。
コメント